馨慶宮の御輦が、前触れもなしに内宮を出た。それだけでも異変である。しかも、それが九間殿に横付けになった。前代未聞のことである。群臣は呆気にとられた。それに出て来たのが、皇太子兄弟である。文武百官は、それぞれに自分の眼を疑った。しかし間違いなく、殷郊と殷洪である。
馨庆宫的御辇毫无预兆地出了内宫。光是这一点就很不正常。很快,御辇在九间殿停了下来。这是前所未闻的事情。群臣们都惊呆了。紧接着,皇太子兄弟从御辇中现身了。文武百官都不敢相信自己的眼睛。但毫无疑问的是,殷郊和殷洪已经从内宫里跑出来了。
殷郊殷洪
比干と黄飛虎が、大急ぎで迎えに出た。
比干和黄飞虎急忙上前迎接。
「お助け下さい!」と殷郊は膝を折って、黄飛虎の太腿に抱きつき、殷洪は両手を広げて、比干にすがりつく。
“请救救我们!”殷郊双膝一折,抱住了黄飞虎的大腿。殷洪则张开双手,紧紧地搂住了比干。
殿内に入って殷郊が、涙ながらに西宮の異変を語った。群臣は、あるいは嗚咽し、あるいはすすり泣く。切歯扼腕して、床を踏み鳴らす者もいた。そこへ西の隅から、雷のような声がとどろく。 声の主は、鎮殿将軍の方弼、方相兄弟である。
进入殿内后,殷郊含泪向群臣讲述了西宫的异变。群臣听罢,有的呜咽,有的啜泣,还有的切齿扼腕,踏地而鸣起来。这时,一阵雷鸣般的声音从西边的角落处传来。声音的主人是镇殿将军方弼、方相兄弟。
「天子は政を失い、妻子を迫害し、炮烙を築き、忠諫の臣を殺して、無道に走った。互いに大丈夫(男)であるなら、泣くだけが能ではあるまい。なぜ皇后の冤を洗ぎ、両殿下の危機を救うために、立ち上がらないのだ。“良禽は樹を択んで棲み、賢臣は君を択んで仕える”と云うではないか。天子を易えよう。新君を立てるのだ。もって社稷を保全すべきである」
“天子失政,迫害妻子,建造炮烙,妄杀忠良,恣行无道!大家都是男子汉大丈夫,又怎能在这里哭哭啼啼的呢?!哭不是唯一能做的事!诸位!一起为皇后娘娘洗冤吧!救两殿下于危难之中吧!是时候站出来了!俗话说得好,‘良禽择木而栖,贤臣择君而仕。’我等不若易天子,立新君,以求保全社稷吧!”
漫画版姜皇后之死
殿中が、しーんと静まりかえった。しかし、その静寂を破って、黄飛虎が、方兄弟をどなりつける。
整个大殿顿时安静了下来。不过,黄飞虎却打破了这种寂静。他大声训斥方家兄弟道:
「場所がらと身分をわきまえて口をきけ。それ以上、妙なことを言ったら、ただではおかないぞ」
“你俩是什么身分?知道这儿是什么地方吗?为何敢在此口出狂言?要是再敢说些莫名其妙的话,我就把你俩抓起来!”
方兄弟は口を尖らせた。上大夫の楊任が、方兄弟の言葉に注釈をつける。
方家兄弟噘起嘴来,表达了自己的不满。这时,上大夫杨任又将方家兄弟的话解释了一番。
「まさしく雲中子の予言どおりになった。古語に——君正しからずして奸佞生まれる——というが間違いはない。天子は不明にも杜元銑を斬り、梅伯を炮烙にかけた。それに、今日の異変である。天子は明らかに、分別を失なったのだ。皇后を誅し、皇太子を斬るのは、乱心したとしか考えられない。だが、泣いている者の蔭で、化け物や奸臣は笑っている。このままでは、成湯の社稷はやがて廃墟となろう。そのときわれわれは、すべて放伐者の虜となる。なんとかせずばなるまい」
“云中子的预言应验了!古人说得好——君不正则臣生奸佞——这应该是没错的!天子莫名其妙地斩了杜元铣,又将梅伯炮烙!今日又有这异变!很明显,天子失去了分辨是非的能力!如今,天子已然诛杀了皇后,却还想将皇太子兄弟斩首!我只能认为,天子陷入了疯狂之中!我们在这里为殷商的不幸而哭泣,可那妖精和支持她的奸臣们却躲在一旁偷笑!这样下去的话,成汤的社稷很快就会变成废墟的!到那个时候,我们都将成为放伐者的俘虏!诸位,我们现在得做点什么了!”
母子决别
——その通りだ——
——就是这样——
と実は黄飛虎も心にうなずく。両殿下は泣きやまない。百官はうなだれている。突然に、床を踏みならす大きな足音が聞こえた。方弼、方相の兄弟が大股で両殿下に歩み寄る。いきなり、両殿下をそれぞれ小脇に抱えると、再び雷のような声を上げた。
黄飞虎在心里暗自点了点头。两位殿下哭个不停。百官们垂首不语。突然,一阵巨大的脚步声踏地而来。方弼、方相两兄弟大摇大摆地向两位殿下走来。转眼间,两位殿下被方家兄弟分别夹在腋下。方家兄弟再次发出了雷鸣般的声音。
「紂王は太子を殺して、祖廟の祀りを絶やそうとしている。われら兄弟は、太子を東魯にお連れ申す。兵を借りて、昏君を除き、改めて成湯の嗣を立てる。そのために、われら兄弟あえて朝歌に反す」と両殿下を背負いあげ、群らがる群臣を突きのけ撥ねとばして、大股で表に駈け出した。群臣は茫然と眺める。手を合わせる者もいた。
“纣王想要杀害太子,断绝祖庙之祀!我们兄弟要把太子带往东鲁!借兵诛除昏君,改立成汤之嗣!为此,我们兄弟决定反出朝歌!”方家兄弟背着两位殿下,推搡着甩开群臣,大踏步地跑了出去。群臣茫然地眺望着。其中,有不少臣子双手合十,祈祷着皇太子兄弟的平安。
「なぜ、止めなかったのですか」と比干が武成王にただす。
“你为什么没有阻止他们?”比干质问武成王道。
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「群臣の中に、あの兄弟のような男が少ないのが、むしろ惜しまれます。二人は粗忽者で、皇后の死と太子の危機を見て、いたたまれなかったのでしょう。卑小な身分だから、天子への諫言は許されず、思いあまって、あのような行動に出たと思います。しかし、間もなく追捕の聖旨が出るでしょう。捕えられれば死は免れない。それは二人とも承知の筈です。しかし、ここは黙って、二人に満腔の義心を発露させる。それが武将の情というものです。武将は、部下をいかに納得させて往生させるか、を考えなければならない。あの兄弟が処刑されるとすれば、その前に一言、褒めてやりたいと思っています」と、口数の少ない黄飛虎が、珍らしく理屈をならべた。九間殿は静まり返って、声を立てる者はない。
“可惜的是,在这群大臣之中,像方家兄弟这样的人实在是太少了。方家兄弟都是粗鄙之人。皇后之死让皇太子兄弟陷入了危机。恐怕他俩已经被吓得受不了了吧。他们身份卑微,无法对天子提出谏言。因此,在一时冲动之下,他俩采取了那样的行动。我就是这么想的。不过,追捕他俩的圣旨不久后就会出现吧?只要被捕,他俩就难免一死。方家兄弟应该知道这一点。然而,两人却没有保持沉默,而是露出了满腔的义心。这就是武将的情怀。同理,作为一名武将,我也必须考虑如何说服部下,让他们心甘情愿地为大义而牺牲。说实话,就算方家兄弟要被处死,我也想在处死之前先表扬他俩几句。”一向沉默寡言的黄飞虎,竟少有地讲起了大道理。此时,九间殿内鸦雀无声。没有人敢回应黄飞虎的话。
ひと足違いで晁田の兄弟が、うやうやしく竜鳳剣を捧げて、九間殿に現われた。
紧接着,晁田兄弟恭恭敬敬地捧着龙凤剑,在九间殿现身了。
「剣旨によって両殿下の首級を頂戴にまいりましたので、お赦し願います」と武成王に挨拶する。
“奉剑旨来取两位殿下的首级。请您原谅我们的不敬。”晁田向武成王问好道。
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「一歩おそかった。どこで、なにをぐずぐずしていたのじゃ。両殿下は、いましがた鎮殿の将軍、方弼兄弟にさらわれた」
“你们来晚了一步啊!是不是在什么地方开小差了?就在刚才,两位殿下被镇殿将军方弼兄弟抓走了!”
方弼兄弟と聞いて、晁田兄弟はたじろぐ。方弼は身の丈が一丈と六尺。方相は二尺ばかり低いが、両人とも豪力で武勇にすぐれ、城の中では、太師聞仲と武成王黄飛虎を除いて、相手に出来る者はいない。
听到了方弼兄弟的大名后,晁田兄弟吓了一大跳。方弼身长约一丈六尺,方相则比方弼矮两尺左右。两人都以豪力勇猛闻名于世。在朝歌城中,除太师闻仲和武成王黄飞虎之外,没有人能对付他们。
「しかし、いまからなら、きっと間に合うぞ。すぐに後を追うてみよ」と黄飛虎は、まじめな顔をして、晁田兄弟をからかった。二人は言葉を濁して、こそこそと立ち去る。
“不过,现在开始去追的话,还不算太晚!要不,你俩马上去追他们?” 黄飞虎装出一脸严肃的样子,调侃着晁田兄弟。两人含糊其辞,鬼鬼祟祟地离开了九间殿。
しかし、しばらくすると、今度は手勅(王の直筆)を手に、再び九間殿に現われた。
但过了一会儿,晁田拿着手勅(王的亲笔)在九间殿再次现身了。
——取り急ぎ、手勅を黄飛虎に下す。ただちに叛徒方弼、方相を捕え、殷郊、殷洪の二首を挙げて復命せよ——
——赶快把手勅下给黄飞虎!让他立刻抓回叛徒方弼、方相!并将殷郊、殷洪的首级带回复命!——
「この愚か者めが、おれにツケを廻しおったな」と黄飛虎は苦笑する。そして竜鳳剣を受け取ると、九間殿を出て、武成王府(元帥府)に戻った。
“你这个蠢货!让我倒大霉了!” 黄飞虎苦笑着骂道。于是,他接过龙凤剑,走出九间殿,回到了武成王府(元帅府)。
暗中帮助太子的黄飞虎
急を聞きつけて、麾下の武将で「四大金剛」と呼ばれた黄明、周紀、竜環、呉謙が、同行の支度を始める。
武成王麾下有黄明、周纪、龙环、吴谦这四位武将。他们被称为“四大金刚”。得知情况紧急,四人开始做同行的准备。
「急ぐ旅ではなし、同行の必要もない」と黄飛虎は断わった。そして、その夜はゆっくりと休む。
“我不赶时间。你们也没必要和我同行。”黄飞虎拒绝了四人的请求。然后,当天晚上,黄飞虎好好地睡了一觉。
翌朝、黄飛虎は五色神牛にまたがって、悠々と朝歌の南門を出た。この神牛、日に八百里を駈け抜ける。が黄飛虎は周囲の風景を眺め、善後策を考えながら、ゆっくりと神牛を走らせた。
次日清晨,黄飞虎骑着五色神牛,悠然自得地出了朝歌的南门。这头神牛可日行八百里。黄飞虎眺望着周围的风景,一边思考善后对策,一边让神牛慢慢地跑着。
九間殿をとび出した方弼兄弟は、両殿下を背負うている。いかな巨漢といえども、そう早くは走れたものではない。それでも二人は、夕闇が迫るまでに、朝歌から三十里を離れることが出来た。しかし、さすがに疲れ果てて、両殿下を下ろす。そして、小さな祠を見つけて休んだ。心痛と疲労がいっぺんに出て、主従四人は、空腹も忘れて前後不覚に眠りこける。
另一方面,逃出九间殿后,方弼兄弟背着两位殿下,顺利地离开了朝歌。事实上,就算他俩是巨汉,也不可能跑得很快。不过,在暮色降临之前,两人还是一口气跑了三十里地。他俩实在是太累了。于是,方家兄弟把两位殿下放了下来。然后,四人找到了一个小祠堂,并在此休息。心痛和疲劳一下子就出来了。主仆四人忘记了空腹的感觉,并在不知不觉中先后睡去。
等候援兵的太子
翌朝、殷洪が先に目覚めて空腹を訴えた。口には出さなかったが、それは誰も同じである。道とは直角のはるか彼方に人家の煙りが立っていた。が、道草など食っている場合ではない。両殿下にも我慢してもらい、方弼兄弟も空腹を耐えて、再び両殿下を背負いあげる。そして懸命に走り続けた。
第二天早上,殷洪先醒了过来,并抱怨肚子饿了。尽管没有说出口,但其余三人的感觉都和殷洪一样。在远方的拐角处,一户人家冒起了炊烟。但现在并不是浪费时间的时候。两位殿下得暂且忍耐一下。方弼兄弟也耐着饥饿,再次背起了两位殿下。然后,两人拼命地跑了起来。
さすがに速度は落ちる。しかし正午近くには、さらに三十里を走り抜けた。前方に茶屋の幟が見える。それを見つけて両殿下は悦んだ。しかし手で懐を探った方弼は、いきなり路上にへたりこむ。ワケを知って、方相も急に足が萎えた。懐中無一文である。
方家兄弟的速度果然慢了下来。在临近正午之时,他们又跑了三十里地。不久后,两人在前方发现了茶馆的旗帜。见到旗帜后,两位殿下都很高兴。然而,方弼用手在怀里探了两下,一下子就瘫倒在了大路上。得知原因后,方相的双腿也突然颤抖起来。事实上,两人此刻都身无分文。
空腹で霞んだ目に、追いついてくる黄飛虎の姿が映った。万事休す。あさはかだった、と方兄弟は後悔する。
饥饿让方家兄弟的眼神变得模糊起来。在一片迷离中,黄飞虎的身影出现了。没想到他这么快就追上来了!万事休矣!我俩真鲁莽啊!方家兄弟开始后悔了。
「余人ならいざ知らず、武成王が追って来られたのでは、戦うことも逃げ隠れることも出来ません。殿下、どうかお覚悟を」と方弼兄弟は、両殿下の前に平伏した。その目の前に、黄飛虎が現われる。
“其他人有没有来,我不知道。可武成王已经追来了,我们是打不过也躲不掉的。殿下,请您做好死亡的心理准备。”方弼兄弟跪倒在两位殿下的面前。很快,黄飞虎在他们的眼前现身了。
漫画版姜子牙有为救太子出力
神牛は、両殿下と仲良しであった。懐しげに鼻の先を両殿下に近づける。しかし両殿下は、神牛にかまっていられなかった。神牛の前に、あらたまってひざまずく。黄飛虎が慌てて、神牛から跳びおりた。
神牛和两位殿下是好朋友。像以前那样,神牛用鼻尖凑近了两位殿下。然而,两位殿下已顾不上神牛的亲近了。两位殿下在神牛之前跪了下来。黄飞虎见状,急忙从神牛上跳了下来。
「もったいのうございます」と両殿下を助け上げる。逆に、自分が膝を折った。
“真是太好了!”黄飞虎扶起了两位殿下。与之相反,他随即又双膝一折,向两位殿下跪了下去。
「臣は、万死に値します。君命により、竜鳳剣を持参いたしました。これにてご自害を、との沙汰でございます」と言ったが、剣を渡す気配はない。
“臣该万死!臣奉君命带来了龙凤剑!请二位殿下就此自尽!这是陛下下达的命令!”黄飞虎虽然这么说,却没有要把剑交给两位殿下的迹象。
「いやだ、と言ったらどうなさる?」
“如果我拒绝的话,你会怎么做?”
「臣は、殿下に追いつけない、と思ったものですから、それは考えておきませんでした」と黄飛虎は、方弼兄弟に目配せする。両殿下を負うて、横路にそれて逃げよ、という示意は、方弼兄弟に通じた。しかし二人は、腹をさするばかりで動こうとしない。それと知らずに、殷郊がきっぱりと言った。
“臣以为,殿下是不会被臣追上的。因此,臣没有考虑过这个问题。”黄飞虎向方弼兄弟使了个眼色。他暗示两人赶紧背上两位殿下,并从旁边的小路逃走。方弼兄弟明白了黄飞虎的示意,却仍是揉着饥饿的肚肠,不愿意付出行动。这时,不知情的殷郊果断地开口道:
漫画版方弼方相
「やむをえない。自害しましょう。が、お願いが一つあります」
“没办法了。只能自尽了。不过,我有一个请求。”
「なんなりと、どうぞ」
“殿下但说无妨。”
「わたくしは潔く死にます。幼い弟は、母親の供養のために、お見逃がし下さい」
“我倒是死得干脆。可我的幼弟还要供养母亲。请你放过他吧。”
「いや、それはダメです。わたくしが死にましょう。兄上は皇太子だから、お助け下さい」と殷洪が口を出す。
“不,那可不行。让我去死吧。兄长是皇太子。请你救救他。”殷洪开口道。
「いや、それはダメだ」と殷郊と殷洪は、どちらが死ぬかで、ついに兄弟げんかを始める。かたわらで、方弼兄弟が、猛獣の吠えるような声で泣き出した。目の当りに、兄弟の情と君臣の義を見た黄飛虎は、腹を打ち割る。
“不,不是这样的。”殷郊和殷洪开始为兄弟俩谁死谁活的问题争吵起来。与此同时,方弼兄弟在一旁用猛兽般的吼声大哭了起来。目睹兄弟之情和君臣之义,黄飞虎终于开诚布公了。
「二人とも泣くな。両殿下も争いをやめて下さい。この先に三叉路がある。わたくしは、そこまで追うた。しかし、方向の判断に迷うて、引き返した、ことにする」と黄飛虎は、道々考えて得た結論を、そのまま話す。そして方弼兄弟に言いつけた。
“你们两人都不要再哭了。两位殿下也请停止争吵。前面有个三岔路口。我一直追到了那里,却迷失了方向。于是,我只好原路返回了。”黄飞虎将他一路思考后得出的结论直接说了出来。然后,他继续向方弼兄弟吩咐道。
这点到现在为止还原了原著,但也就到这里
「方弼は皇太子殿下をお連れして、道を右に東魯に向かえ。方相は幼殿下を助けて道を真っ直ぐにとり、南都に赴け。そして、東伯侯と南伯侯に、東南両路から兵を挙げ、両殿下を擁して朝歌に進撃するよう説得せよ」
“方弼带着皇太子殿下,沿着右边那条道往东鲁行去。方相则与幼殿下一直向前走,帮他前赴南都。然后,你们二人分别说服东伯侯和南伯侯,让他们从东南两路起兵,并拥立两位殿下向朝歌发起进攻。”
「ありがたき幸せに存じます。が……」と方弼が言いよどんで、両手をこすり合わせる。
“我很感激王爷的大恩。但是……”方弼一边说,一边搓了搓双手。
「が、どうした?」
“有什么问题吗?”
「実は突然の出来事で、路銀の用意がございません」
“其实,事情发生得太突然。我们没来得及准备路银。”
「そうであったか。それで腹をさすっていたのじゃな。が、それは弱った」と黄飛虎は苦が笑う。実は、彼にもその用意がなかったからである。しかし黄飛虎は、身につけていた玦をはずした。
“原来如此。所以你才会一直揉肚子啊。可我确实帮不了你。”黄飞虎苦笑道。事实上,他也没有做这方面的准备。不过,黄飞虎还是取下了身上的玦。
方家兄弟巨人的特性在漫画版也没体现
「この宝玦には、数百金の値打ちがある。これを路銀に換えるがよい」と方弼の手に渡す。そして、両殿下の前途平安を祈って、再び五色神牛にまたがった。両殿下が、こんどはやさしく神牛の鼻を撫でる。黄飛虎は微笑みながら、神牛をくるりと廻して朝歌に向かった。
“这块宝玦值数百金。你可以将它换成路银。”黄飞虎将那块玦交给了方弼。然后,他再次骑上五色神牛,并衷心祈祷两位殿下前途平安。这回,两位殿下温柔地摸了摸神牛的鼻子。黄飞虎微笑着,将神牛转过头来,向朝歌行去了。
黄飛虎の姿が視界から消えると、四人の目は、期せずして一斉に、茶屋に向けられる。武成王の玦を懐に入れると、方弼の足に力が出た。方相も、つられて元気に走る。そして茶屋にとび込んだ。三食分を一度に食べる。
当黄飞虎的身影从视野中消失后,四人的目光不约而同地投向了茶馆。方弼将武成王的玦放入怀中。此时,他的双脚充满了力量。方相也受到鼓舞,跟着方弼跑了起来。然后,四人冲进茶馆,并一次性吃下了三顿饭的量。
方弼は、宝玦で食事代を払い、お釣りを貰うつもりでいた。しかし路傍の茶屋に、そのような大金があろう筈はない。方弼は途方にくれた。幸いに、茶屋の主高遜は気前よく食事代を勘弁する。無銭飮食をして、両殿下は平然としていたが、方兄弟はバツ悪げに茶屋を出た。
方弼本打算用宝玦来支付饭钱,并向老板要一些路银。可路边的茶馆是不可能有那么多钱的。方弼一脸茫然,手足无措。幸运的是,茶馆老板高逊慷慨地饶了他们的饭钱。出了茶馆后,两位殿下对吃白食这件事泰然自若,可方家兄弟却感到很不好意思。
逃难中的太子
そして元気いっぱい、南へと走り続ける。間もなく三叉路に差しかかった。疲れたわけではない。しかし四人とも食べすぎて、腹が苦しくなり休息を取る。
精神饱满的四人继续向南前进。不久后,他们来到了那个三岔路口。尽管四人并不累,但他们刚才都吃多了。四人的肚子都很难受。如今,他们需要休息一会儿。
興奮が去り、腹拵えをすませ、さらに適当な運動をしたところで休息を取った方弼の頭が、このとき、ほぼ一昼夜ぶりに正常な廻転を始めた。なにを思い出したのか、ヒソヒソと、弟の方相と相談する。相談するほどに、二人とも深刻な顔をした。
兴奋过去后,方弼大快朵颐了一番,后来又做了一些适当的运动,并休息了一段时间。就这样,隔了一天一夜后,方弼的头脑终于开始了正常的运转。不知想起了什么,方弼和弟弟方相偷偷地商量了一下。两人越是讨论,神情越是显得严肃。
やがて、その相談の結果を正直に、両殿下に告白する。
不久后,两人向两位殿下坦白了商量的结果。
「臣らは、ご存じの通り一勇の夫にすぎません。一時の衝動で朝歌をとび出しましたが、路銀の用意もなく、武成王の宝玦を路銀に換えることも、どうやらムリのようです。あえて街に出て売ろうとすれば、逆にあらぬ疑いをかけられて、妙なことになりかねません。それに二人の巨漢がそれぞれに幼君を背負うて路を走ることは、やはり目立ちすぎます。望みを果たすためには、臣らが両殿下から離れた方がよろしいかと存じますが、いかがなものでございましょうか」
“众所周知,臣和臣的弟弟,只不过是一勇之夫罢了。由于一时冲动,臣和臣的弟弟连路银都没有准备,就带着两位殿下逃出了朝歌。虽然武成王将宝玦赠予我们,但是,把宝玦换成路银似乎是办不到的。如果我们硬要将它拿上街去卖的话,反而会引起有心人的怀疑。这样一来,一些奇怪的事情就有可能发生了。况且,两个巨汉各自背着一个幼君在路上跑,也还是太显眼了点儿。臣认为,为了实现殿下的愿望,臣和臣的弟弟最好还是和两位殿下分开。不知殿下有什么想法?”
「それは、その通りだ。しかし、われら兄弟にも路銀はなく、それに路を知らない」
“你说得没错!问题是,我们两兄弟既没有路银,也不认识路啊!”
继续逃难
「その点は、臣らも考慮いたしました。ご心配には及びません。殿下が身につけている品々は、いずれも高価なものでございます。さきほどの茶屋での流儀で、タダ飯が食べられることは間違いありません。それに、東魯と南都に至る道は、いずれも大道で、しかも真っ直ぐでございます」
“这一点臣也考虑过了!您不必担心!殿下,您随身佩带的物品,都是价值连城的宝物!况且,按照我们刚才在茶馆中的做法,您肯定能吃上免费的饭食!再说,通往东鲁和南都的路,都是笔直笔直的大道啊!”
「わかった。が二人はいずこへ?」
“我知道了。那你们两人准备去哪里?”
「しばらく、どこかの諸侯に身を寄せます。決して二た心はございません。殿下ご挙兵の折には、なにをおいても駆けつけます」と方弼、方相の兄弟は泣きながら、横の小路にそれて歩み去った。それを目で送って、殷郊は右の道を東魯へ、殷洪は真っ直ぐに、南都へと進む。
“臣和臣的弟弟会暂时投靠某位诸侯。绝不会有二心。当殿下举兵之时,无论如何,臣和臣的弟弟都会赶来的。”方弼、方相两兄弟一边哭着,一边向旁边的小路走去。目送两人离开后,殷郊沿着右边的道路奔赴东鲁,而殷洪则向南都直行而去。
这里方家兄弟是妖怪,但从他们在原著中的表现来看,还不如妖怪
とは言っても、両殿下は城の外を独りで歩いた経験などなかった。ことに幼い殷洪の心細さはひとしおである。歩いては止まり、止まっては歩く。それでも夕方には、とある集落に差しかかった。
话虽如此,两位殿下却从未独自走出过城外。年幼的殷洪显得格外不安。走走停停,停停走走。尽管如此,殷洪还是在傍晚时分来到了一个村落。
おなかが空く。路傍に大きな家を見つけて、堂々と門をくぐった。
殷洪的肚子饿了。他在路边找到了一间大屋,堂堂正正地走进了大门。
「誰ぞ、おらぬか。食事をもってまいれ」と大声で叫ぶ。家の女主人が出て来て、殷洪の身なり風貌と言葉使いに首をかしげながら、こころよく家の中に招じ入れた。そして慇懃にもてなす。そのまま家に泊めて貰おうとも考えた。しかし、先を急がねばならないと、礼を述べて家を出る。
“有人在家吗?拿点饭给我吃!”殷洪大声叫道。屋子的女主人走了出来。她一边歪头打量着殷洪的衣着打扮和言行举止,一边爽快地将他请进屋里。女主人殷勤地招待殷洪,还想把他留在家中,直接招为夫婿。殷洪却得抓紧一切时间逃往南都。于是,他向女主人道谢后,离开了屋子。
殷洪は懸命に歩いた。間もなく日が暮れる。しかし、月の明るい夜であった。殷洪は、けなげにも歩き続ける。そして明け方、疲れ果てて、そのまま路傍の草の上に寝ころがった。
殷洪拼命地走着。不久后,太阳下山了。不过,这是一个月光皎洁的夜晚。殷洪继续快步走着。黎明时分,殷洪筋疲力尽,直接躺在了路旁的草地上。
日漫中的标准坏人设置
まぶしい日射しで、殷洪は目を覚ます。まわりに人影もなく、人家もなかった。立ち上がってさらに歩く。中天から太陽が、容赦なく照りつけた。絹の着物の袖で汗を拭って、ふと見ると、前方に凉しげな森がある。森に入ると、一座の古廟があった。軒轅廟である。あまり新しくはないが、お供えがあった。無造作にそれをつまんで口に入れる。そして、霊座に進み出て両手を合わせた。
耀眼的阳光将殷洪唤醒。周围没有人,也没有房屋。殷洪站起身来继续走。日中时分,阳光无情地照耀着。殷洪用绢服上的袖子擦了擦脸上的汗水。抬头望去,前方有一片清凉的森林。进入森林后,殷洪见到了一座古庙。这是轩辕庙。虽然庙宇不怎么新,但也有人在里面供奉。殷洪顺手将供品放入口中。然后,他来到灵座之前,双手合十起来。
「上帝さま、わたくしは成湯三十二代目の孫でございます。難を避けて通りかかったのですが、どうかお護り下さい。この難を避けることが出来た暁には、いま頂いたお供えを、何倍にもしてお返しいたします。そして大きくなったら、この古い廟を新しく建て直してあげますので、本当にご守護下さい」と祈る。祈って心が落ち着くと、すごい睡気に襲われた。そのまま霊座の前に、ごろりと横になる。そして、ぐうぐうと眠りこんでしまった。
“上帝啊!我是成汤第三十二代的子孙!为了避难,我路过此地,请您保护我吧!如果我在明日黎明后能顺利避过这场劫难的话,刚才吃下的供品,我一定会加倍地还给您!长大以后,我会将这座古庙翻修一新!真的!请上帝守护我!”殷洪祈祷道。祈祷过后,殷洪的心情平静了下来。强烈的睡意袭来了。就这样,殷洪横卧在灵座之前。然后,他呼呼地睡着了。
智将黄飞虎?
一方の殷郊は、暗くなるまでに十里ほど歩いて、由緒ありげな邸の前に差しかかる。門を見上げて目を凝らすと、「太師府」と読める大きな扁額があった。この家の祖先の誰かが、その昔、朝廷に仕えたのであろう。そう思って、大きな声をあげた。
另一方面,殷郊在天黑前走了十里路,来到了一处似乎大有来历的府邸之前。他抬头仰望,凝神细看,发现府门上有一块大匾,上面写着“太师府”三字。在这家人的祖先里,一定有谁侍奉过朝廷吧?殷郊想到这里,大声地问道:
「誰ぞおらぬか?」
“有没有人啊?”
「声になにか聞き覚えがあるが、どなたじゃ?」と老人が顔をのぞかせる。商容であった。
“这个声音很耳熟啊!是谁来了?”一个老人探出头来。此人正是商容。
「おお宰相!」と殷郊の目から涙が溢れる。
“啊!是宰相!”殷郊的眼泪顿时流了下来。
「殿下、なぜお独りで?」と商容は駈けよって殷郊の肩を抱く。隠退した老宰相は、突嗟に大方の状況を察した。抱きかかえるようにして、殷郊を正庁に案内する。ことさらに、なにも訊かなかった。老人の心遣いである。しかし、殷郊は一部始終を語り、声をあげて泣いた。
“殿下,您怎么一个人来了?”商容疾步走来,抱住了殷郊的肩膀。这位退隐的老宰相,猛然察觉到了大部分的情况。他紧紧抱住殷郊,并将他带进正厅。商容什么都没问。这是老人对孩子的关怀。殷郊却还是把事情的来龙去脉说了一遍,并大声地哭了起来。
面临凶险的太子
他方、皇太子兄弟や方弼兄弟と別れた黄飛虎は、廻り路をしながら、ゆっくりと朝歌に戻る。城に入ったときには、辺りはすでに暮色に包まれていた。午門の外で、帰りの遅い黄飛虎を気にしながら、百官が待っている。比干が真っ先に歩み寄ってきた。
另一边厢,与皇太子兄弟和方弼兄弟分道扬镳后,黄飞虎一边绕着弯路,一边慢慢地返回朝歌。当他进城之时,周边已经被暮色包围了。百官们一直在午门外等候。毕竟,武成王迟迟未归,百官们都有点担心。见到黄飞虎后,比干第一个走了过来。
「いかがなされた?」
“情况怎么样?”
「追いつけませんでした」と黄飛虎は簡潔に答える。百官は黙って、めいめいにうなずいた。黄飛虎はその足で寿仙宮に入り、紂王に復命する。
“我没能追上。”黄飞虎简洁地答道。百官默然,各自点了点头。黄飞虎走进寿仙宫,向纣王复命。
「勅を奉じて七十里の地点まで追跡いたしましたが、三叉路になっており、往きつ戻りつしながら、方向の判断に迷いましたのと、一つには、追い過ごしたのではないかと思い、やむなく引き返して参りました」
“臣奉手勅,一直追踪到七十里外。那里有一个三岔路口。臣不知道该往哪个方向走,又怕追过了头。不得已之下,臣只好回来了。”
「ご苦労であった。退がって休むがよい。悪運の強いやつらだ」と紂王はべつに殘念がる様子もない。しかし、かたわらで聞いていた妲妃は焦った。
“你这家伙的霉运也太强了吧?辛苦你了!暂且退下!好好休息吧!”看样子,纣王并未感到遗憾,可在一旁听着的妲妃却很着急。
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「陛下、殷郊兄弟を取り逃がせば大変なことになります。姜桓楚の大軍が、間もなく朝歌に押し寄せてくるでしょう。ただちに殷破敗と雷開の二将に、飛騎軍(騎兵隊)三千を授け、星夜を突いて捜索に向かわせたがよろしいかと存じます」
“陛下,如果放跑了殷郊兄弟的话,我们就麻烦了。到那时,姜桓楚的大军很快就会涌入朝歌。妾以为,陛下应立刻将三千飞骑军(骑兵队)授予殷破败、雷开二将,并派他们冒着星夜去搜索。这个建议,您觉得如何?”
紂王は同意して、さっそく手詔を出した。詔を受けると、殷雷二将は武成王府に現われて、兵符(出陣に際して受ける割符)と兵馬を請求する。
纣王同意了妲妃的提议,并立刻下了手诏。接到诏书后,殷雷二将在武成王府出现,并请求黄飞虎发出兵符(出征之际领受的割符),调来兵马。
「今日はもう晚いから、兵馬の調達は出来ない。明朝出直せ」と黄飛虎は、殷雷二将を追い返した。武成王が相手では、紂王に言いつけることもならない。
“今天已经很晚了。兵马调配不过来。你们明早再出发吧。”黄飞虎赶走了殷雷二将。事实上,就算是殷雷二将,也不敢拿纣王的话对武成王指手画脚。
しかし殷破敗と雷開は、夜明けを待ちかねたかのように、早朝五更(五時)の鐘鼓の音とともに、武成王府に現われた。武成王の命を受けた周紀が、二将に兵符を渡す。そして、練兵場におりて、三千の兵馬を二将に引き渡した。
不过,殷破败和雷开却仿佛在等待黎明的到来。伴随着清晨五更(五时)的钟鼓声,两人又出现在武成王府。周纪奉武成王之命,将兵符交给二将。然后,周纪又来到练兵场,将三千兵马交给二将。
三千の兵馬の気色を一瞥して、殷雷二将は、顔をしかめる。老衰病弱の兵に、廃殘の馬の集団であった。もとより不満は口に出せない。やむなく殷雷二将は、それでも号砲一発、勇ましく城の南門を出た。
瞥了眼三千兵马的气色后,殷雷二将不由得皱起眉头。原来,那些士兵们尽皆老衰病弱,马匹也都是废残不堪的。但殷雷二将却无法表达不满之情。无奈之下,殷雷二将只得发出号炮,催动兵马从朝歌城的南门离开了。
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病兵、殘卒、廃馬の集団とはいえ、それでも、やはり騎兵隊である。殷雷二将の容赦ない叱咤もあって、昼すぎには、ようやっとながら三叉路に辿り着いた。そこで殷雷二将は、設営を命じて兵に食事と休息をとらせる。
尽管这三千兵马是由病兵、残卒、废马组成的,但他们仍是骑兵队的人。在殷雷二将毫不留情的斥责下,他们好不容易才在下午到达了三岔路口。于是,殷雷二将命令士兵们安营扎寨,让他们在此吃饭休息。
しかし、すぐさま三千騎の中から、百騎の「精鋭」を選りすぐった。食事をすませると、それぞれに五十騎を率いて、殷破敗は東魯への路を、雷開は南都に向けて、馬を走らせた。
不过,殷雷二将马上从三千骑兵中选出了百骑“精锐”。吃完饭后,二将各领五十骑而去。其中,殷破败前往东鲁,雷开则奔赴南都。
雷開は、ムキになって馬を急がせたが、五十騎の精鋭はおくれる。夜明けの五更から行軍を続けて、まったく休息をとっていなかった。雷開は舌打ちしたが、どうすることも出来ない。やむなく雷開は、前方に見える森の中で、兵馬を休ませることにした。
雷开恼羞成怒,催马急去,但五十骑精锐却跟不上了。他们自拂晓五更就开始行军,根本没有休息过。雷开咂了咂嘴,却也无可奈何。不得已之下,雷开决定让兵马在前面的森林里休息。
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森に入ると、古い廟があり、五十騎を休ませるに足りる広い庭がある。雷開は、急に祈る気になって、神殿に足を踏み入れた。ほのかに暗い。霊座の前に進むと、子供が一人、眠りこけていた。雷開は腰を折って、子供の顔をのぞきこむ。
进入森林后,雷开发现了一座古庙。庙中有一个足以让五十骑休息的广阔庭院。雷开突然想向上帝祈祷。于是,他步入神殿。殿内十分昏暗。雷开走到灵座之前,发现有一个孩子正在酣睡。雷开弯下腰来,想瞧一瞧那孩子的脸。
あ!と雷開は声を上げた。その声に子供が目を覚まして起きあがる。間違いなく殷洪であった。
啊!雷开大声叫道。他的声音把孩子吵醒了。毫无疑问,这孩子是殷洪。
「殿下、朝廷の文武百官が心配しております。朝歌へお帰りなさいますよう、お迎えに参上いたしました」と雷開は膝を折る。
“殿下,朝廷的文武百官都很担心您。他们让我来接您。希望您能早点回到朝歌。”雷开双膝一折,向殷洪说道。
「雷将軍か。わかっている。なにも言うな。その代わり馬を貸せ。もう歩くのはいやじゃ」
“是雷将军吗?我知道了。什么也别说了。给我一匹马吧。我可不想再走回去了。”
「どうぞ、臣の馬にお乗り下さい。臣は步いて後にしたがいます」と雷開は、殷洪を自分の馬に乗せた。子供とはいえ。もし殷洪がゴネ出したら面倒である。雷開は、せいいっぱいの忠義ヅラをして、徒歩で殷洪の後ろにしたがった。またも休息をとり損なった精鋭たちは、馬上で居眠りを始める。
“请您骑臣的马吧。臣跟在您后面走就可以。”雷开将殷洪放在自己的马上。就算殷洪是个孩子,雷开也不能让他出什么差错。不然的话,雷开会有大麻烦的。于是,雷开装出一副忠义的样子,徒步跟在了殷洪的身后。与此同时,没能休息好的精锐们开始在马上打起了盹。
一方、東魯への路を急いでいた殷破敗は、商容の邸の前で馬を降りた。商容は、その昔に彼を取り立てた「座主」である。つまり彼は商容の「門生」であった。急用とはいえ、通りがかった以上、座主に挨拶しなければ、世間の口がうるさい。
与此同时,急于前往东鲁的殷破败,在商容的府邸前下马了。商容是以前提拔了他的“座主”。也就是说,他是商容的“门生”。虽说是急事,但要是路过时不向座主问好的话,他的名声就会坏掉的。
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慣習によって、座主を訪れた門生は、案内を乞う必要がなかった。ごめん、と声をかけて、殷破敗は邸の中に入る。が思わず正庁の前で足を止めた。正庁で殷郊がお茶を飲んでいる。殷破敗は目をこすった。が間違いなく殷郊である。
按照惯例,拜访座主的门生是没必要通报的。老宰相,打扰了!殷破败一边打招呼,一边走入宅邸之中。没想到的是,他在正厅之前停下了脚步。殷郊正在正厅喝茶。殷破败揉了揉眼睛。毫无疑问,他就是殷郊。
「天子の命により、殿下を迎えにまいりました」と殷郊の前に膝を折る。武装していたから「礼」によって平伏する必要はない。いや、会釈ですませることも出来た。しかし殷破敗もまた、殷郊がゴネることを恐れたのである。
“奉天子之命,前来迎接殿下!”殷破败双膝一折,在殷郊面前下跪道。殷破败戎装在身,本就没必要依“礼”参拜太子。不,他可以点头了事的。但殷破败担心殷郊日后会说他的闲话,便对他使足了礼数。
「よいところへ来た。ちょうど、殿下をお城へお送りしようと、支度をしていたのじゃ。一緒に出掛けるとしよう」と商容は奧から出て来て、そう言った。しかしそれでは、殷破敗は具合が悪い。皇太子と一緒に、商容を連れてきた形になっては、紂王の誤解を招きかねないからである。
“你来得正是时候。我正准备送殿下到城里去。我们一起出发吧。”商容从后堂出来,如此说道。可那样的话,殷破败就要遭罪了。要是商容和皇太子一起来的话,纣王很可能会误解殷破败的。
方家兄弟的战败
「老宰相に申し上げます。卑職は命によって、殿下を迎えに参りました。それゆえ、ひと足先に城へ帰り、城で老宰相のご到着をお待ちするのが筋かと存じます。どうか、卑職が——天子を先に私情を後にしたという——大義を立てることをお許し下さい」
“老宰相,请听我说。卑职本就奉命来迎接殿下。因此,卑职应先一步回城,在城里恭候着老宰相的到来。这是理所应当的。毕竟卑职是要讲大义的——先有天子而后私情——请老宰相原谅。”
「相変わらずの悧口者よのう。が、それはそれでよい。ただし、よく聞けよ。ここで殿下をお預けしたのですぞ。功を望んで義を忘れるなよ。妙な料見を起こしてはならないぞ」と商容は厳しく念を押す。そして殷郊に言った。
“你这家伙,还是那么能说会道啊。就这样吧。不过,你给我听好了。我把殿下交给你了。你可不要见功忘义啊。别乱起什么奇怪的心思啊。”商容严加嘱咐道。然后,他对殷郊说道:
「殿下、ご傷心には及びません。この商容が一命を賭けて、お父君を説得いたします」
“殿下,您不必伤心!我商容就算赌上性命,也会说服君父的!”
殷郊は黙ってうなずき、馬に乗った。そして馬上で考える。弟さえ無事に落ち延びてくれたら、自分はどうなっても構わん。それにしても、まだ幼い弟は、南都に辿り着けるだろうか。頑張るのだぞ。きっと母上の恨みを晴らすのだ、と殷洪に思いを馳せる。気がつくと、すでに三叉路に出ていた。
殷郊默默地点了点头,骑马而去。他在马背上不停地思考。要是弟弟能平安逃脱的话,我不管有怎样的下场也没关系!不过,弟弟年纪尚小,能否顺利到达南都呢?你要努力加油啊!一定要为母亲报仇雪恨啊!殷郊思念起了殷洪。回过神后,他已经来到了三岔路口。
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見ると、そこに殷洪がいるではないか!殷郊は愕然とした。同じ思いでいた殷洪も、兄の姿を見て、わあっと泣き崩れる。かたわらで、殷破敗と雷開がほくそえんでいた。
紧接着,他定睛一看。那不是殷洪吗?!殷郊愕然无语了。殷洪和殷郊有同样的想法。于是,当他看到哥哥的身影时,立马就哇地哭了起来。在他俩的身旁,殷破败和雷开正幸灾乐祸呢。
空の上では、申公豹が目を凝らしている。
在空中,申公豹正目不转睛地盯着他们看。
「可哀そうな二人の殿下を助けましょうか?」と黒点虎が言う。
“两位殿下真可怜!你还是救救他们吧?”黑点虎道。
「よけいな口をきくでない!」と申公豹は機嫌が悪かった。実は仙界に、殷郊と殷洪を救う動きがある。それが申公豹には苦々しかった。しかし、後日のために二人の顏を見覚えておこう、と現われたまでである。
“别这样跟我说话!”申公豹的心情很不好。事实上,在仙界,一场拯救殷郊和殷洪的行动正在谋划中。这是申公豹苦苦求来的结果。同时,为了能在日后记住这两个孩子的长相,申公豹乘着黑点虎在朝歌出现了。
出手干预的申公豹
应该说这一段还是比较符合原著,但是还是有些不知来由,主要是用词方面的问题。或者原著这方面表现就不佳。黄飞虎的智商也处于下限。必须说明的是,史书上没记载有纣王有殷郊、殷洪两个皇子。有记载的只有武庚一个。很多人以此认为纣王是被冤枉了,他不好色。其实这正说明纣王有问题。道理很简单,正常人是不会生孩子这么困难的。何况君主。而往往这样的皇帝正是那方面用了错误的方法或者有相应病症。所以纣王生子少并不是能够洗白他的理由。
但是把纣王说成好人的风气已经形成了。特别在《封神纪》中,他简直可以说是一个大英雄。现在甚至有人把“人皇”这一称号给他。其实这在古代是没有的。只是现代人的脑洞。
虽然不见于历史,然而在话本小说中,殷郊是有的,而且他坚定地走上了为母报仇的路。事实上哪吒也借鉴了一些他的形象。因此可能他是历史上的真实存在也说不定,但没有相应的文献证明。很多人不切实际地认为我们拥有古代的大部分资料,这其实是不切实际的。历史的消失速度比你认为的快得多。很多英雄故事都埋入了尘烟。
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